ここ数年、インプラント療法を標榜する歯科医院が急増しておりますが、手術を行う歯科医師の技量、術式、治療費の設定など、医院により様々です。
アメリカでは病院の手術実績が公開されておりますので、患者さんが、ご自分で医療機関を選択する目安とすることができます。しかし、情報開示が統一されていない日本では、インプラント療法を希望する患者さんが、信頼できる医療機関をご自分で探すのは、なかなか容易ではないと思われます。
歯を失って治療したいが、どんな治療法が自分に最適なのかよくわからない、インプラント療法に興味があるが、どこで相談したらよいのか迷っているなど、何を基準に医療機関を決めるべきかお悩みの皆様が、安心して確実な治療を受けるため、インプラント専門医として、あくまでも私見ですが、これから標準化されると思われる選択基準についてお話させていただきます。

納得できるるまで説明してくれる

納得がいくまでご説明

繰り返しになりますが、歯を失った場合、治療方法の選択肢はひとつではありません。ブリッジ、入れ歯など、それぞれの治療方法に長所・短所があり、また患者さんのご希望や生活スタイルも考慮して治療法を選択することが最終的に患者さんのご満足と治療の成功につながります。
まず歯科医師からそれぞれの治療法について納得のいくまで説明を受けてください。その結果、インプラント療法を選択する場合、治療を開始する前にCT撮影や口腔内を含めた全身の健康状態など、ご自身がインプラントの適応症例かどうか、診査をしてもらってください。十分な説明や診査なく、いきなりインプラント治療をすすめるのは考えものです。

明確な実績や信頼性がある

日本口腔インプラント学会

治療を行なう術者の技術・経験が一番肝心なのですが、患者さんから最も見えにくいところであり、ひとつの判断材料としては、公的な学会認定などの明確な資格が挙げられます。
また、かかりつけの歯科医院があれば、インプラント専門医をご紹介いただくのも安心です。医師は信頼できる医師にしか自分の患者を紹介せず、また紹介を受けた医師も、責任を持って治療にあたるからです。
いずれにしても、最終的な選択は、患者さんご自身で下すものとなりますので、ある程度、インプラントの基礎知識を身につけたほうが宜しいかと思います。
特定の医療機関と利害関係のない第三者からの情報(例、日本口腔インプラント学会ホームページの一般の方向けの情報など)も知識の習得に役立つかと思います。予備知識を持った上で複数の医師から話を聞き、患者さんからの質問に対し、その先生がどのように答えるかが、判断の目安となるでしょう。

料金の根拠が明確である

カウンセリング

一口にインプラント治療と言っても術式や歯科医院によって料金体系にかなりの差があるようです。
高額な治療費、低料金なもの、それぞれ、理由があるはずです。大切なことは、その理由について歯科医師からきちんとした説明がなされ、患者さんご自身が納得をされることです。インプラント治療は顎の骨に土台を埋め込む外科治療ですから「安かったから失敗しても仕方がない」と諦めるわけにはいきません。自分自身に何が大切か、優先順位を把握して後悔しないインプラント治療を選択してください。
また、医療機関によっては、最初に、ほぼ全額に近い治療費を請求するところもあるようですが、万一、途中で治療継続が不可能になった場合等に、返金のシステムがあるのかどうかも確認されたほうが良いかもしれません。

診療体制が万全で司会しの姿勢に共感できる

インプラント手術写真真

インプラント療法では治療終了後、定期的に歯科医師によるチェックを受けていただくことが、いかに長く、快適にお使いいただけるかのポイントになります。そのため、治療を行った歯科医師とは、長いお付き合いになると思われます。したがって、具体的な治療方法もさることながら、その歯科医院の体制や歯科医師の診療に対する基本姿勢に納得・共感ができる医院でないと、最終的に治療に満足することは難しいかもしれません。インプラントのような長期にわたる治療の成功には、医師と患者さん双方の信頼関係が不可欠であるからです。 治療前の説明が十分になされ、注意点や成功率などを全てきちんと話してくれる先生、自分と波長が合い、信頼できる、長く付き合っていけそうな先生を探しましょう。
できれば、治療開始前の相談に始まって治療が終わり定期検診まで、患者さんの状況をすべて把握し、いつでも同じ歯科医師が診察してくれる、そんな医療機関を選ばれるとご安心なのではないでしょうか。